めくるめく出会いの風景①
(一)
いったいどうしてこんなことになったのだろうか?
私が何か悪いことでもしたというのだろうか?
いや、そんなことはない。
私はただ誠実に生きてきたのだ。精一杯、必死に生きてきたのだ。
それなのに、どうしてこんなことになってしまうのか?
世の中、まったく不公平だ。
神様もいったい何を見ているのだろう?
あそこでの一週間を思い出すと、今でもぞっとする。
よく、生還できたものだと思う。こうしているのが不思議なくらいだ。
あれから、どうしてこうなったのかと私は考えを巡らせ続けた。
毎日考え続けた。
ずっと考えていると、私の周りに何重もの罠が仕掛けられていたんじゃないかと思うようになった。
罠――そう、はっきりとは見えない蜘蛛の巣のような罠だ。
私はそれに捕らわれた。
些細なことが何重にも積み重なり呼応して、いくつも糸が絡みついて、私は罠の中でがんじがらめになっていったのだ。
それらのでき事に私は全く気づいていなかった。でも、それは幼い頃からもう始まっていたようだ。
運命?
幼い私に対しても、神様は容赦せず、それこそ一方的に責め苦を与えていたのだ。そして、それからも綿々と続く試練の数々……。
そして、そのあげくの果てがこれだ。
もはや責め苦をなんとも思わない女になってしまった。
それにしてもひどい話だ。
今、私の頭の中ではいろいろな出来事が走馬灯の様に駆け巡っている。たくさんの思いが沸き上がってきて収拾がつかないくらいだ。
私はそれを一生懸命、言葉にして書き留めようとしている。
なんのため?
なんのためだろう?
よくわからない。だが、私は書かなければいけないと思ったのだ。
誰のために?
自分のために。
過去と訣別するためにも、これまでのあまりにも惨めな出来事を洗いざらい書きあげることが必要だと思ったのだ。
さて、どこから書こうか?
何から始めよう?
やはり、あの悪夢の一週間に直接繋がる「あの人との出会い」から始めるのがいいだろう。
もしあのとき、あの人、浅井啓太に会っていなかったら、私の人生はもう少し変わったものになっていたかもしれないのだから――