思いがけない贈り物⑤

 いったい、なんだぁ!

私は慌ててパンティをあげ、服のボタンを嵌めようとするが、あせっているので、なかなかうまくいかない。それでも、なんとか服を整えてドアに向かった。

ドアのレンズを覗く。制服を着た男が立っている。

「はい」と声を出すと、ドアの向こうで、「お届けものです」という声がした。

ドアを開けた。制服を着た若者が段ボールの箱を持って立っている。

「岩室さん、宅配便です」とその若者はニッコリ笑いながら伝票を差し出した。

 差出人を確認する。

啓太からだ!

「印鑑をお願いします」

「ちょっと待っててね」

慌てて印鑑を取りに奥に引き返し、玄関にもどって伝票に印を押して荷物を受け取ると、私は大急ぎでドアを閉めた。

胸がドキドキ高鳴っている。

啓太からの届け物。啓太は私を忘れてはいなかったのだ。

伝票の浅井啓太の名前、その横の住所の欄を見る。

「沖縄?」

私は驚いた。

「どういうこと?」

啓太は沖縄にいたのだ。マンションを訪ねてもいないはずだ。

携帯くらい出てもいいのではないかと、私はちょっぴり不満に思う。

でも、啓太から連絡があった喜びの方が大きかった。

大きな箱だ。でも、そんなに重くない。

一体何が入っているの?

段ボールの閉じ口にカッターの刃を当てる。期待に胸を膨らませて、私は段ボールの箱を開けた。

まず、目に飛び込んできたのは、真っ赤なハイヒールだった。

それもただのハイヒールではない。踵の高さが十五センチはあろうかというハイヒールである。さらに、ヒールの部分が細い棒状になっている。いわゆるピンヒールという種類のものだ。

私はダンボール箱からそれを取り出し、目の前に置いてジックリと観察する。

ヒール部が細くて、とても長い。そして、鮮やかな赤。これだけでも十分に人の眼を引きつけるのは間違いない。

綺麗だけれど、これを履きこなすのは大変だわ。

私はため息をついてその靴を床の上に置いた。

箱の中には他にも包みが入っていた。それを取り出し、袋を開けた。

衣類がいくつか入っていた。

一つはワインレッドのドレスだ。薄手の生地のミニドレス――布の量があまりにも少ないのに私は気づいた。

身体にちょっとあてがってみる。大胆にカットされているのが分かった。

つぎは、地肌が透けて見えそうな黒いレース地のパンティ。

 それから、黒いストッキングとガータベルト。最後は金のペンダントが付いた黒いチョーカーだった。

コトンと何か床に落ちた。

封筒だ。

拾い上げて中を見る。手紙が入っている。

私はそれをおそるおそる開いてみた。

「愛する玲子へ。

この間は突然に追い返して申し訳ない。しばらく、仕事で沖縄に滞在している。

逢いたかった。君を忘れられないんだ。いつもあの時のことを思い出す。あの熱い玲子の身体の中のことを。

今週末は東京へ帰るつもりだ。金曜日の夜に、クラウンホテルの一七〇四号室を予約している。

こちらでいいドレスを見つけたので玲子に送る。きっとよく似合うことだろう。

この服を着てホテルに来て欲しい。

夜の七時にメインロビーで会おう。

きっと来てくれると信じている。

待っているよ。  浅井啓太」

  • 筆者
    office-labyrinth
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