第三話 電車通学④
ああ、ダメだ。とても歩けない。
私はフラフラと駅のベンチに歩いて行って、そこに腰掛けた。座るとお尻の中の栓が押されて、私を刺激する。
目をつぶって、身体を折り曲げて、必死に便意と戦う。膀胱もパンパンに腫れているようだ。ちょっとの刺激でお漏らししてしまいそう。
「大丈夫かい……」
隣で男の声がした。若い会社員風の人。
「苦しいんです。お腹が痛くて……」
その人は、少し迷ったような表情になったけど、すぐに明るく微笑んで、
「君は、変なものを穿いているんだね」と言った。
その瞬間、私はその人が誰かわかった。
さっきの痴漢さんなのだ!
私は答えない。答えられるわけがない。
「いや、さっきはごめん……でも、僕でよければ、助けてあげるよ。一体、何をされたんだ?」
「とてもいえません……」
「まずは、駅から外に出ようか。それを外せるところを探そう。僕に任せなさい」
私は力なく顔上げた。男の人の後ろに朝の明るい太陽が輝いていたから、顔が暗くなってよく見えない。
――ともかくこの苦痛から逃れよう。まずはそれからだ。
私は小さな声で、「ハイ……」と答え、男にしなだれかかった。
駅から外に出て、男に支えられながら私は歩いた。
少し行くと人混みが少なくなった。坂を上る。人が途絶えた。
ああ、私の膀胱はもう限界だ!
男の手を振り切って、坂の途中、アスファルトの上にしゃがみ込む。
出るぅ!
今日二回目のお漏らしだ。スカートの下で水溜りができて、チョロチョロと坂を流れ下っていく。私は恥ずかしくて顔を覆った。
もう、立ち上がる気力もなかった。
男は私をむりやり立ち上がらせると、身体を支えて歩かせた。
「もう、少しだよ……」
坂をどう登ったのだろう、到着したのはラブホテルだった。
男が手続きをしている間、私は廊下にしゃがみ込んでいた。
――この人、大丈夫なんだろうか? ホテルに制服の高校生なんか連れ込んで……
男は鍵を手に取ると、私をつれてエレベーターに乗る。部屋は三階だった。