きらめく夜の一部始終⑨
「じゃあ、愛する僕のためなら、何だってできるんだね?」
啓太がそう訊いてきた時、私はやはりこうなるのだと思った。それは予想通りであり、ひょっとすると心の片隅で微かに期待していたことだったかもしれない。
啓太は乳首を捩って、すっかり燃え上がっている私の淫蕩な身体を一層昂ぶらせて、つぎの答えを引き出そうとしている。
そんなことはすっかり分かっているのだが、あまりの気持ちよさに「もっと強く責められたい」という衝動が沸き起こってくる。
「ええ、何だってします」
私は盛りのついた雌猫になったように、顔を啓太の胸に擦りつけてそういった。
「本当だね――」
「本当です――何だってします」
そういって、私は顔を上げて彼の反応を窺う。
啓太は笑っていた。
「それでなくちゃ――」
これでいい。これでいい。
啓太が微笑みながら、ゆっくり身体を動かし始めた。
彼が腰を前に突き出す。すると、柔らかな肉襞を捩って、固い塊が私の体内に捻り込んできた――
「ああーっ……」
私は思わず歓喜の声を漏らし、身体をグィッと仰け反らせた。同時に、ようやく啓太と一体になったという喜びが一気に押し寄せてきた。私は啓太の身体にしがみついた。そして、つぎの攻撃を待った。
でも、つぎはなかった。啓太はそこから先に進まなかった。
奥を突いたのは一度きりで、その後は花芯の入り口あたりをゆっくりと掻き回しているばかりなのだ。
もっと、深く結合したい、もっと強く、繋がりたいと私は願った。こんな状態で待たされるのは堪らなかった。
「お願いだから、もっと強く突いて――」
より深い結合を求めて、私はそう叫んでいた。
でも、私の願いは叶えられない。あいかわらず、意地悪な啓太は私をたっぷり焦らすのだ。
もうこれ以上は耐えられないと思った時、啓太が動いた。
彼のモノが最初の一打よりはるかに深くまで、私の体内の最も奥深くまでめりこんできたのだ。
感じたのは快感ではなかった。未だ異物が入ったことなどない領域がむりやりこじ開けられたのだ。それはこれまで味わったことのない感触だった。
「痛いっ!」
長大な肉茎の先端が子宮に突き刺さっていると思った。子宮口を無理矢理こじ開けていると思った。その痛みに私は身を捩って悶えた。
啓太は乳房を扱きながら、怒張を私の奥深くに差し入れたまま動かない。
いや、それは正確ではない。非常にゆっくりとではあるが、私の中で肉棒が動いていた。緩慢な刺激がずっと加えられていたのだ。
すでに激痛は消えていたが、身体の中の違和感は続いていた。そして、その違和感は奇妙な感覚をうんでいた。
それは快感ではなかった。むしろ苦痛でさえあった。でも、その苦痛がじわじわと続くうちに、何か別のものに変わっていった。身体の奥深くに火がついて、熾火がくすぶるように、肉を焦がしながら次第に広がっていくような感触だ。身体が熱くなってきた。汗が噴き出てて来た。身体の奥深くが燃え始めようとしていた。火が次第に大きくなって、炎を上げようとしていた。
こんなの初めて……
俊介のように、身勝手に激しい抽送を繰り返すのではない。じわじわと真綿で首を絞めるように執拗に責められ、限界近くまで身体も心も昂ぶらされている。こんなところに、ちょっとでも燃えるものをくべると一気にメラメラと炎を上げて燃えてしまうだろうと私は思った。
「うううっーー……」
身体中の毛穴から汗が噴き出てくる。もうとろけてしまいそうだ。
私は自分からお尻を動かした。一気に天に駆け上がろうとしたのだ。
でも、それは啓太の考えとは違ったようだ。怒張を私の身体から抜いてしまったのだから。
炎に砂をかけたようなものだ。
燃え上がりかけた火は再び熾火に戻って、私のお腹の中でくすぶり続けている。