刺し貫かれた時間①
刺し貫かれた時間
(一)
日がだいぶ傾いてきたが、暑さはいまだに和らぐ気配がない。むしろ、土や草から湧き出た水蒸気で湿度が上がり、じっとりと身体にまとわりつくようになっている。
庭の背の高い草の間から小さな蝶々が現れて、ひらひらと草木の間を舞いながら、ゆっくりと廊下の方に近づいてきた。そして、そこでしばらく逡巡したのち、何かいいものがないかと探すかのように、蛇行をくりかえしながら、部屋の中に入ってくる。
その部屋では全裸の女が、大きく脚を開いて、性器を剥き出しにして縛られていた。
白い豊満な乳房やむっちりとした太股には、さきほどまでの責めの痕がはっきりと残っている。
蝶々は女の周りをしばらく舞っていたが、ようやく羽を休めるところを見つけたのか下りてきて、こともあろうに分泌物でべっとりと濡れた女の花弁の傍らに止まった。
蜜を吸おうとしているのだろうか? だが、全く勝手が違うようだ。
女が下腹部をヒクヒクと動かした。それに驚いたのか、蝶々は女の身体から離れてひらりと舞い上がると、軽々と室内を飛び回ってから、慣れた夏の庭の方に飛んでいってしまった。
そして、部屋には女だけがとり残された。
玲子はさきほどから尿意を感じていた。
それは、性欲の炎が収まるにつれて、急激に大きくなっていった。今や膀胱がパンパンに膨れ上がっている。しかし、玲子は身動き出来ない。
「トイレに行きたい」という思いはどんどんと強くなって、耐えがたいものとなっていた。
身体をくねくねと動かす。そうでもしていないとやりきれないのだ。
男達が戻ってきた。
竜造が玲子の様子を見てニヤニヤしている。その笑みから、身体に生じている変化が何なのか、すべて分かっているのだと玲子は悟った。
玲子は小さな声でいった。
「お願い……トイレに行かせて」
男たちは押し黙ったまま、何の反応もない。玲子はもう一度、
「オシッコがしたいの……どうか、この縄を解いて、トイレに行かせて下さい」と泣きそうな顔で頼んだ。
竜造がようやく口を開いた。
「どういう状態だ?」
「もう、我慢ができないんです……」
「漏れそうなのか?」
「ええ」
玲子は俯く。
「我慢しろ」
「えっ?」
「我慢しろというのだ」
「でも……」
「そういう言葉が出る間は、まだ我慢が出来るはずだ」
「そ、そんな。どれだけ――我慢すればいいのですか?」
「さあ」
竜造は総髪の男を見る。すると総髪の男は手を延ばして、玲子の顎を持ち上げた。
「お前は鞭でぶたれるだけでイッてしまった」
「……」
「自分だけいい気になって、ちっとも儂らを楽しませていない。そんな状態でトイレに行かせてくれだと。よくそんなことがいえたものだ――儂らを十分に楽しませるまでは、そのままだ」