刺し貫かれた時間③
黒鬼の手帖から【尿道責め】
「尿道責め」は尿道に異物を挿入し、膀胱から尿道までを責めるものであり、その器官の性格から責めは排泄と密接に関係している。二通りの方法がある。一つは失禁寸前の状態で排泄ができないように栓をする「尿道栓」と、逆に穴の開いた器具を挿入することによる「強制排泄」である。用いる器具は、前者が「拡張ブジー」、後者が「導尿カテーテル」である。
「ブジー」とは、尿道・食道その他の比較的狭い管腔に挿入する金属製の医療器具で、管状・棒状など種々の形と大きさをもち、狭窄の拡張、異物の探知、薬剤の塗布などに用いる。このうち太いものは、排尿を防止する尿道プラグとして用いることが出来る。
一方、「導尿カテーテル」は、尿道に差し込んで膀胱内の尿を強制的に抜き取る医療器具である。材質としては医療用ゴムやシリコンといった柔軟性のある素材が用いられる。先端部には穴が開いており、膀胱に溜まった尿が流れ込んできて、尿が排出される。ネラトンカテーテルとバルーンカテーテルがあり、ネラトンカテーテルは単に穴の開いた柔軟な管であり、カテーテルを留置しておく手段がないため、排尿が終わると抜き取られる。一方のバルーンカテーテルは先端に風船がついており、ここに減菌水または蒸留水を注入して膨らませると、膀胱からの脱離を防止できるので、長時間の装着が可能になる……
竜造が手にしているものを見て総髪の男が微笑んだ。何をするのか分かったのだろう。これから、自分に降りかかる災厄がどんなものなのか、玲子はまったく見当もつかなかった。その分からないということが、玲子の恐怖を一層強いものにしていた。
竜造が持っている器具、それは長さが十センチほどの金属製の棒で、中央部で軽く屈曲している。棒の途中にいくつか節があり、先端部が最も大きい。太い処が八ミリ、細い処が四ミリというところだろうか。根元には一センチくらいの小さなリングがついていた。
「わりと太いな」
総髪の男は竜造から検分の為に手渡されたその器具を興味深げに調べている。
「ええ。尿道栓ともなるとこのくらいの太さは必要なのです。もっと太いのもありますが、まあ、このくらいから始めるのがいいかと……先端の太い処が膀胱に入れば、簡単には抜けなくなります」
男は先端部の突起を指で触り、
「つまり、自力では抜けないということか」と訊いた。
「さようで。まず、抜けません。慣れた女ならこのくらい飲み込むのどうってことないんですが、今日は最初ですからキシロカインを使ってやります」
「痛み止めか」
「そうです。大暴れされても困りますのでね。馴れてくれば使うのを止めます」
男はその物騒な器具を竜造に返した。
「旦那様、よろしければ身体を押さえていてもらえませんか?」
「ああ、いいとも」
何かが始まることを察して、玲子は身体を固くした。
総髪の男が背後にまわったのが分かった。
太股が後ろに引っ張られる。脚が目一杯、開かれる。
「これでいいか」と男の声。
「ありがとございます。これで動けないでしょう。では、始めます」
竜造が玲子の股間に手を近づけてきた。小陰唇が開かれ、露わになった膣口上部の膣前庭に透明なゼリーが絞り出された。
「いやあっ! やめてぇえっ!」
玲子は大声を出して抗った。
ひどい、あまりにひどい。
膀胱にが一杯になっていて、もう一秒たりとて我慢できないのだ。そんな状態なのに、これからなにをしようというのか。