恥ずかしい夜②
その日の朝、私はこの過激な服と赤いピンヒールを紙袋に詰めて、地味な服にローファーという恰好で出勤した。
会社では夜の事を想像して常にドキドキしていて、仕事が手につかなかった。ちょっと考えるだけで股間がすっかり濡れてしまうのだ。
真理絵がまた失敗をしてその穴埋めに追われた。しばらくの間、勝手に休暇を取って真っ黒な顔で出社してきたと思ったらすぐにこれだ。まあ、何という子だろうとあきれ果てた。ともかく、その仕事もなんとか片付け、あとは終業時間になるのを待つだけだった。
それなのに、「岩室さん、これ急ぎなんだけど」と、高瀬課長が五時頃に書類を持ってきたのだ。
「えっ、今日は約束があるので、早く帰りたいんです」
高瀬課長は一瞬不思議そうな顔をして、
「金曜の夜に悪いな、デートの予定かもしれないけど頼むよ。月曜日の朝には提出しなきゃならないんだ。そんなにかからないから、なんとか頼むよ」と強引である。結局、断りきれず、仕事を引き受けることになった。
その仕事は確かにそれほど大変なものではなかったが、それでも一時間かかった。出来上がった書類を高瀬課長に差し出すと、私は大慌てで会社を出た。
地下鉄の赤坂見附には六時四十五分についた。改札を出て、トイレを探す。トイレの中で服を着替えるのだ。
送られたきた服に着替えるには、全裸になる必要があった。狭いトイレで服を全て脱ぎ終わった時、胸がドキドキして身体中がカーッと熱くなった。
隣で誰か用を足す気配がしていた。急いでレースのパンティを身につける。手が震えてガータベルトが留められない。ワインレッドのドレスを着る。
それにしてもなんという服だろう。ほとんど裸ではないか。
赤のピンヒールに履き替え、首輪の様なチョーカーをつける。そして、コートを羽織り、スカーフを巻いて、着ていた服を袋に詰めた。
トイレから大慌てで出て、つぎに荷物を預けるコインロッカーを探した。幸いにそれは改札口を出てすぐのところにあった。空いているロッカーを見つけて、荷物を入れ、お金を投入しドアを閉めた。
これでよし!
地上に出る階段を上り、私はクラウンホテルに向かって歩いていく。
七時だった。
アネックス側のエントランスからホテルの中に入る。待ち合わせのロビーはどこかとキョロキョロと辺りを見回す。エレベータのところに館内図があった。しかし、一階と二階の情報しか得られ無い。困って、フロントに尋ねる事にした。