第四話 祭り⑦

2020年01月31日

「たくさん、溜まっとるわ……」
信助がオマルの中を見て感心している。私は恥ずかしさのあまり、ただうなだれるばかりだった。
「もう一回ぞ……」信助はもう一本浣腸液をお腹の中に押し込んだ。
「もう、こんなこと止めてっ!」
泣きながら、私は必死に訴えたが、信助は引きつったような笑みを浮かべているだけだった。
ああ、またお腹が痛くなってきた。
「進んどるか?」
猛の声が聞こえた。信助の隣で私を見下ろしている。
「今、二本目を仕込んだところじゃ」
信助が空になったガラスの浣腸器を見せた。
「猛さん、どうしてこんな事するのよっ! ひどいじゃないの!」
私は猛烈に猛にくってかかった。猛は平然とした顔で全裸の私を見つめていたが、やがて無表情で話し始めた。
「毎年、祭の時に大神様に娘を献上する……これは大昔からの、ここのしきたりだ。そうせんと、村によくない事が起こる。だから、毎年毎年、生贄となる娘を探しとる。今年は玲子の生贄になる番ということだ……」
「どうして私なのよ?」
「村には年頃の娘がいねえからだ。このあたりは人が少なくなってしもたし、娘もみんな外に出て行ってしまう。どうしたもんかと思案していたところに、お前の居所を教えてくれた奴がおった……」
ひどくお腹が痛くなってきた。私は雪の上でブルブルと身震いを始めた。
「我慢せんと早よう出せ。全部出さんと次に移れんからな……」
 と、猛が静かな口調でいう。
急な差し込みが起こってきた。私は慌ててオマルに跨る。
 猛はそんな私を見て声を出して笑った。
「あああ、見ないでぇっ!」
男たちの視線の中で、私はオマルの中に二回目の排泄を行った。
「恥ずかしいわ……」
「まだまだだな。信助、もう一本だ」
ブーブーブーと音がした。猛がポケットを押さえる。携帯に電話がかかってきたのだ。
「なんだと、まだそんなこといっとるのか、仕方ねえな」
猛は誰かと話していたが、慌ただしく電話を切って、信助に、
「表が大変なことになっとる。ワシ戻るから、ええか、綺麗な水のような便になるまで何回も続けるんぞ……」
と言い置いて闇の中に走り去って行った。

ズンズン……ズンズン……ズン

何回も浣腸が繰り返された。信助は毎回オマルの中を確認し、その中身を雪の上に捨てては、浣腸を繰り返した。

直腸が空になると、浣腸液が今度は大腸まで回り、そこから汚物を掻き出してきて排泄に至る。ぶちゅぶちゅぶちゅと音を立てて、ガスとともに便をひり出す時ほど苦しいものはない。

私は背中を震わせながら何回も身体の奥深くから起こってくる苦しみに嗚咽した。

数回の浣腸ではなかなか水の様な便にはならない。
「終わったぞ……」
信助が嬉しそいった時、すでに十二回の浣腸が繰り返されていた。私はすっかり消耗しきって、雪の上にバッタリ倒れ込んだ。
「ちょっと……待っとれ」
信助は社の横手に姿を消したかと思うと、バケツを両手に下げてやってきた。

「寝てないでそこへ座れや」

私をむりやり正座させ、頭から水をぶっかける。
「ああっ! 何をするのよ!」
「禊じゃ。身体を浄めるんぞ」

 信助が力いっぱい水をかける。顔に水がかかる、息ができない。
バケツが空になると、信助はまた社の横手に姿を消す。カラカラという音がして、重そうなバケツを運んできて、水をたっぷり私に浴びせかけた。
きっと井戸水なのだろう。思いの外、温かったが、冷たい風が吹いているので、濡れた身体から体温が奪われた。私はもう意識を失いそうになっていた。
「寒い……お願い……もう許して……」
五杯、バケツの水を浴びせられた後、私はようやく社の中に戻された。

  • 筆者
    office-labyrinth
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