第四話 祭り⑪
ズンズン……ズンズン……ズン
目の前に桐の箱が四つ並べられた。紫色の絹の布のの中にあるのは男性器。いや、これは男性器をかたどった淫具だ。よく使っているバイブではなく、もっと歴史を感じさせる代物――褐色でまだら模様があり、つややかな透明感がある材料を使って実物よりやや誇張して作ってある。雁が大きく張り出し、天狗の鼻より立派にぐっとそりかえっているのだ。大きさの順に並べてあるが、最も小さなものでも外人サイズ、大きなものは腕くらいある。
「これは代々この寺に伝わる宝じゃ、べっこうを曲げて張り合わせてある。無数の女のヨガリ汁をたっぷりと吸い込んでてらてらと光輝いておるわ」
小栗さんが猛と信助に自慢げに説明するのが聞こえた。
「こっちは」と小栗さんが壺を手にとり、わざわざ蓋を開けて中を私に見せてくれる。カルピスみたいな白い液体が見えている。小栗さんが指ですくうと細く糸を引いた。
「これをお前の中に塗り込んでやる。そうしておいで最後の仕上げじゃ」
「イヤです! こんなこと止めて! もう帰して下さい」
無駄とは知りつつ、私はせい一杯訴えた。でも、こんな重い板に首を挟まれては、私はもう逃げられない。
小栗さんが壺を持って後ろに回った。代わりに、私の前に大きな白い布が敷かれた。その端は衝立にまで達している。
ああっ! 小栗さんの指が私の中に入ってきた。私の中で指がぐにゅぐにゅと動いている。私の中にあの白い液体をなすりつけている。
ああっ! お尻の中まで……。
「さあ、始めろ」小栗さんの声を合図に、信助が私の髪を掴んだ。
ガァーッという機械音がして、何かが私に近づいてくる。何が起こるの? 頭の上でバリバリバリバリという音。そして、信助の手からハラハラと何かが布の上に落ちる。
髪の毛だ! 私の髪の毛が! バリカンで刈られているんだ!
「止めてェッ! 止めてェ-ッ!」私は大声を出した。
「どうして、そんな事するのよっ!」
小栗さんが笑っている。
「おまえは尼になるのだ。この衝立の彫り物のように尼にならねばならん」
バリカンか私の頭を走り回る。髪の毛の束が、ドサドサと布の上に落ちていく。
私は髪の毛を刈られて尼にされてしまう。
いやだぁあああっ!!
私は逃げようと身体を動かす。
ダメだぁあああっ!! 逃げられないようっ!!
頭に何かかけられた。泡が顔にかかる。これは男の人がひげを剃るシェービングフォーム。
「オイッ、頭を動かすと怪我するぞ、剃刀でツルツルにするからな」
今度は猛の番だった。手に持ったT字カミソリで私の頭を剃っている。手が動くたびにジョリジョリと音がする。