第五話 武者紫①
第五話 武者紫
(一)
「玲子にはきっと、紫が似合う…」
あの人はそういった。
紫――それは、古来高貴な色であった。その紫が私の白い肌に合うという。
「妖艶な朱もいいけれど、玲子には、それより落ち着いた紫が合う」
あの人はそういうと、優しい目で私を見つめた。
「古の武将たちは紫を好んだんだ。例えば……上杉謙信。彼の甲冑などに紫が多量に使われている。彼の黒小札紫縅は、五月人形にもなっているよ。
紫縅というのは、鎧の縅の部分に紫色に染めた革や組糸で綴ったものだ。当時は今とは違って草木染だから、多量の紫草が必要だった。とても贅沢な品物だよ。それから、伊達政宗も紫色を好んだという……」
私は、あの人の説明に、戦国武将の煌びやかな武具を頭に描いた。そこに使われた紫……「武者紫というんだ」と、あの人が教えてくれた。
「じゃあ……今度、会うときまでに用意しておくよ」
あの人とはそう約束して別れた。
そして約束通り、あの人は用意していた。
濃い紫色に染め上げられた、美しい麻縄を……。
その縄で、あの人は私の両手首を背中のところで縛った。そして、そこから縄を前に回して、腕から乳房の上を通して、二回私の身体に巻き付けた。つぎに、もう一本、縄を取り出すと、背中の縄に結んで前に回し、今度は乳房の下の位置で二度縛った。余った縄尻を背中から前に、腕の内側を通して、下の胸縄にくぐらせて始末する。これを両腕とも行うと、私の上半身は縄に完全に絡め取られて、全く動けなくなってしまった。
あの人は、今度は背中から肩に縄をかけて、その先を上下の胸縄に通して、中央部できゅっと結んで、乳房を絞り上げた。私の乳房は縄で無残に縊られて、グッと前に迫り出している。その先のすでに固くなった乳首と、ぷっくりと膨れ上がった乳蕾を掌でこすって、あの人は、私の身体の中に淫虐の炎を点けたのだ……。