第二話 夜汽車②
二
列車が動きだし、大宮を過ぎたところで車掌さんが検札に廻ってきた。特に何事もなく、事務的に切符をチェックして部屋を出て行った。
しばらくすると、隣の部屋から男の人たちがやってきた。全部で八名になるとさすがに狭い。みんな寝台の下の段に腰掛けて、何が始まるのかと待っている。
お義母さんはお弁当と缶ビールをみんなに配り終えると説明を始めた。
「列車は仙台に十一時半に到着します。仙台から先は函館まで止まりません。仙台に着くまでは皆様、ご自由にお過ごし下さい。その間に、順番を決めるための入札を行いたいと思います。私の携帯に希望する順番、六人ですから一から六までの数字と金額をお書きください。同じ番号が重なる場合には金額の高い方が優先されます」
なかなか要領のいい説明だ。
でも、順番を決めるための入札ってなんだろう?
いったいお義母さんは何をしようというのだろう?
私には訳がわからなかった。
「一回の入札で決まるのか?」
眼鏡の白木さんが訊いた。
「いや――競りにしましょうね。その都度、ご希望を出しておられる方に、メールで現在の金額をご連絡します。ともかく、一番高い金額を付けた方に落ちます――」
「入札に外れた場合にはどうなるんですか?」
井上さんが訊いた。
「入札に外れた方には、その次にご希望になる番号を伺って、また競りを行いましょう。人気の高い順位から決めていきます」と、お義母さん。
「そりゃあ――だいぶ時間がかかるな」
富山さんがため息をつく。
「仙台まで四時間もあります。お酒でもお召し上がりになりながら、スリリングな競りをお楽しみくださいね」
お義母さんはしゃあしゃあと答える。
この列車の中でなんかへんなことが行われるようだ。
私には関係ないと私は話半分で聞いていた。
「だが、どんな品物か解らねえと、値のつけようがねえんじゃねえか」
菅原さんがドスのきいた声でいった。
そうだそうだとみんなも菅原さんに同調した。
お義母さんは背筋をぴんと伸ばして、みんなをジロリと見回すと、
「そりゃあそうですわね。では、お見せしますので、みなさんそちら側に集まって下さいな」と、私たちの前の寝台を指さした。
みんな私の前に腰掛けている。
お義母さんが立ち上がった。
私、独りになる。じっと見つめられている。お義母さんを眼で追う。
お義母さんは部屋の入り口に立って、通路の方をチラッと見てから、私に声をかけた。
「玲子ちゃん、セーラー服を持ち上げて胸を見せてあげて」
「そんなっ、こんなところで?」
いったい何を言い出すの。ここは寝台車よ。
ツアー客の前で何をさせるのよ!
その時、私は今夜自分が何をするのか分かった。
イヤイヤと顔を振る。
すぐに、お義母さんのきつい平手打ちが飛んできた。
大きな音がした。
掌で頬を押さえ、お義母さんの顔を見た。
鬼の様な顔をしている――無理だ。逆らえない。
渋々、セーラー服をたくし上げた。
「ほおーっ」という声が上がった。
みんながジロジロと私のことを見ている。
膨らみ始めた私の乳房を見ている。
「さあ、つぎは下よ、スカートをめくって脚を開いて――」
恥ずかしさに胸が高鳴る。
これから何が始まるのか、すっかり分かっている。
私は今夜みんなの相手をするのだ。その為の順番。その為の入札なのだ。
私は命じられた通り、寝台の上で脚を開くと、スカートの裾をゆっくりと持ち上げた。パンティを穿いていないから、繁みがまる見えになっている。
「もっと脚を開くのよ! ほら、指で毛を掻き分けるの。よく見ていただくのよ」お義母さんが強い調子でいう。
性器を露出させる。
みんなの視線が私の股間に集まっている。
アソコが炎で灼かれるように熱い。
「花びらの中も見せてくれんか?」
富山さんがいやらしくいう。
「いいですわ。玲子ちゃん、両手でビラビラを押し開いて、アソコの中をみなさんにお見せしなさい」
私は真っ赤になった。そんなことまでしなくちゃいけないの?
お義母さんの顔色をうかがう。
ダメだ、いうことをきかないと酷い目にあわされる。
私は人差し指と中指で陰唇を挟んで、左右に開いてみせた。
わっと歓声があがった。
「若い娘はいいですな――綺麗で」
紳士面した鈴木さんが初めて口を開いた。
「もっとぐぃっと奥が見えるまで開けよ。お嬢ちゃん」富山さんの声がねっとりと絡み付いてくる。
私は指に力を入れ、腰を前に突き出した。
「おお、ピンク色の内臓が見えていますよ」と、山田さんが手を叩いた。
「後ろの方も見せてもらおうか――」
菅原さんが容赦なくいった。
「もちろんですわ。今日はたっぷりお浣腸をして十分に綺麗にして参りましてよ。こちらの方も、安心してお使いいただけますわ」
お義母さんはそんなひどい事をいって、私に後ろを向いてお尻を突き出すように命令した。
「お尻の穴もたまりませんね。まるで小菊かモッコウ薔薇のようだ」
鈴木さんが私の肛門をその様に評した。
きっとお家に広い庭があるのだろう、と私は思った。