第四話 祭り⑧
(四)
ズンズン……ズンズン……ズン
社の中に戻ると、冷えきった私の身体を信助がバスタオルで包み込むようにして、丁寧に拭き上げてくれた。
その間、彼は一言もしゃべらない。決して私を支配しているという風ではなく、申し訳ないという気持ちがあるのか、むしろ丁寧に私を扱おうとしている様にも思えた。
私の乳房や陰部に触ろうともしない。いや、私の素肌を見ることさえ避けているようだ。その様子から、ひょっとしらもうすぐ私は解放されるのではないかと期待を持ったが、それはとんだ思い違いだった。
床にベルトが取り付けてあった。私はその上に寝かされ、お腹のあたりを固定された。背中で括られた腕が痛まない様にと、二つ折りにした座ぶとんを腰のところに差し込んでくれた。
信助は足首に縄を巻いていく。その先がどこに伸びているのか私は眼で追った。縄は背面にある左右の柱に繋がっていた。柱の上部に鉄の輪が取りつけられていて、その中をくぐっているのだ。
信助が私から離れて、柱の方へゆっくり歩いていく。二つの柱から垂れ下がっている縄を手に取ると、グイッと引いた。私の足が持ち上がる。左右に引っ張られて、脚が開いていく。ドンドン左右後方に分かれていく。私は一番恥ずかしい場所を真上に晒した格好で、くの字に固定されてしまっていた。
「な、なにをするのよ?」
なにをされるのか分からない不安に私はあせっていた。早く、ここから逃げ出したかった。その一方で、さきほど何回も繰り返されたおぞましい浣腸行為が私の中に変化をもたらしていた。しばらく封じ込めていた被虐欲望に火が点いたのだ。
信助は私の問いには答えず、黙ったままひたすら作業を続けている。
冷たい!
異常に気づいて顔を上げると、目一杯に開いた脚の間で信助が私の秘部を触っていた。
「なにをしているのよ!」
私の声で信助が顔を上げた。そして、申し訳なさそうに説明を始めた。
「石けんを塗っとるんじゃ。ここの毛をみんな剃り落とさんといかん。小栗さんからの命令じゃ」
「小栗さんって、住職さんがどうしてそんなこと命じるのよ?」
「わからん。ワシにはわからんが、昔からのしきたりだと小栗さんがいっとった。すぐ済むから、悪く思わんでくれ」
信助は手にカミソリを持っている。その手が震えているのがわかった。
「ジッとしとれ、ケガしたらつまらんが」
そういい置いて剃毛が始まった。剃刀が動くたびにジョリジョリと音がする。
「お前、顔に似合わず毛深いな、ボウボウじゃ」と信助が笑った。
ショックだった。アソコの毛が生え始めたころから、いつも気にしていたことだったのだ。パンティからはみ出してしまうほど多量の剛毛。ハサミでトリミングするのだが、今度は鋭利な毛先が肌に刺さってチクチクして辛い。それで、処理が億劫になっていた。
そんな私の気持ちが分かったのか、「気にするな、つるつるにしてやるから」と信助がいった。
私はすでに抵抗する気持ちが失せていた。なるようになれと思っていた。村の名士でもある小栗さんまでが仲間なら、どんなに抵抗しても無駄だろうと諦めたのだ。
陰部の茂みをはじめとして、股の間からお尻に至るまで、信助は丁寧に剃りあげていった。浣腸ですっかり敏感になってしまっていた肛門に剃刀が当たった時、その冷たい触感に思わず喘ぎ声を漏らしそうになるのを私は必死にこらえた。私の本性を隠し通しておきたかったからだ。