第四話 祭り⑩
ズンズン……ズンズン……ズン
驚いている私をそのままにして、信助は作業に没頭している。滑車を動かして、天井からフックを下ろしているのだ。手が届く高さになったところで、縄を衝立上部の金具に掛けた。どうやら吊り上げるつもりらしい。
信助が衝立の前にしゃがみこんだ。背中が邪魔になって何をしているか見えない。作業を終えて彼が立ち去ると、なんと衝立に穴が開いていた。後背位で交合する男女の彫り物が取り外されて、向こう側が見える。さらに、その左右にも小さな穴があった。そして、その三つの穴をつないで水平に細い溝が切ってある。ここで上下二つ割りにするのかもしれない。
何に使うのだろう?
私はそれに似たものを知っていた。ある種のラブホテルに置かれている「ギロチン」と呼ばれる責め具だ。中央の穴には首を、左右の二つの小さな穴には手首を入れて拘束するのだ。しかし、それにしてはあまりにも立派すぎる。
ガラガラガラガラ……信助が鎖を引くと、ゆっくりと衝立の上部が持ち上がっていく。思ったとおり、衝立は溝のところで二つに割れた。
私は衝立に拘束されていた。手首を入れる穴は一メートル半ほどの間隔があるので、両腕をかなり大きく開いた格好になる。それより問題なのは首の穴の高さだった。中途半端に低いのだ。腰を大きくかがめた窮屈な姿勢になってしまう。その上、股が大開きになる様に床に足首を繋がれているので、お尻を高く突き出し、無毛の恥部や肛門をこれ見よがしに晒すしかなかった。頭の上にある板はとても重くて、自力でここから逃れることなどできやしない。
私は待っていた。震えながら……信助がすることを待っていた。
背後から無防備の性器を犯すのだろうか? それとも、ミミズ腫れができるまでお尻を力いっぱい鞭打つのだろうか? それとも、もっと酷いこと?
考えるだけで、胸がキューっと締めつけられ、アソコがだんだん熱を持ってきた。
「どうじゃ、進んどるか?」
頭上でいかつい声がした。頭を持ち上げて声の方を見る。厳しい顔をした男が、いつの間にか側に立っている。その隣で猛が冷ややかな目で私を見つめていた。
すくみ上がってしまうほどの威圧感。
小栗さん?
小学校で国語を習った時の怖い顔を思い出した。人に有無をいわさない圧倒的な力がある。
「後は仕上げを待つばかりです」
緊張した声で信助が答えた。このかしこまった態度は小栗さんに対する服従の表れだろうか?
「よし、そろそろ始めるか」
小栗さんがしゃがんで私の顔を覗き込み、顎を指で持ち上げる。
「べっぴんだな。もったいない気もするが仕方ない。猛、アレをもってこい」
「はっ、承知しました」猛も丁寧語で応じている。これからいったい何が起こるのだろうか?
猛が姿を消した。小栗さんが衝立を回って段の上に上がるのが分かった。しばらく沈黙。冷たい手を背中に感じた。手は次第に下に、お尻の方に動いていく。柔らかな手だ。尾てい骨のあたりを触っている。肛門の中に指が突っ込まれた。何回か前後に動かした後、下へ。
「こんなにされて感じているのか? ベトベトだぞ」
私は恥ずかしさにすくみ上がった。
「どうやら、その気があるらしい。惜しいな。儂の女にしてたっぷり可愛がってやりたいところだ」
指がアソコに入ってきた。中で動かして締まり具合を調べている。
猛が戻ってきた。風呂敷包みを持っている。
「そんな恨めしそうな眼で見ないでくれ。これも仕事じゃ」
猛が申し訳なさそうにいった。