Ⅰ奴隷への道
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ささやかな奈落のはじまり⑤
気がつくと玲子は布団の上にいた。出掛けたときと変わらないワンピース姿だった。 かなり古い造りの畳敷きの部屋である。欄間の入念な細工などから、十分にお金をかけた建物であるとわかった。 廊下の先にあ…
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ささやかな奈落のはじまり④
(二) ……夏の日差しがギラギラ照り付けている。 私は、なぜか叢くさむらの中にいた。 夏の叢は太陽の照り返しと、草が放つ水蒸気で非常に蒸し暑い。 遠くに男達の声が聞こえている。 私を探…
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ささやかな奈落のはじまり③
しばらくして、ケバケバしいメイクをした無愛想な女がやってきて、サンドイッチとオレンジジュースをトレイごとガシャリとテーブルの上に置くと、すぐにまた店の奥に引っ込んでしまった。 「どや、ねーちゃん。旨…
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ささやかな奈落のはじまり②
入り口で立ちすくんでいると、奥から声がかかった。 「いやぁ、朝早くからご苦労さんでんなぁ」 玲子は声の方を見た。 店の一番奥にその男が座っていた。 禿げ頭で、でっぷりと肥えており、のっぺりとし…
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ささやかな奈落のはじまり①
(一) 月曜日の朝だった。玲子は新宿歌舞伎町を歩いていた。 この時間、街は夜の喧騒が嘘の様にひっそりと静まりかえり、厚化粧の下に隠されていた細部が明らかとなって薄汚れて見える。いたるとこ…
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