紙尾真二郎
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アレクサンドロス戦記(八六) 第四章③
(二)ミレトスの攻防 ネアルコスは怒っていた。 「どうして船を加速できないんですか! 早くミレトスに着かなければ、すべてが台無しになってしまいます!」 ネアルコスは強い口調で抗議した。あまりの…
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アレクサンドロス戦記(八五) 第四章②
さて、マケドニア軍はサルディスを後にして、「月の女神アルテミス」の神殿で有名なカイストル川の河口にある海港都市エフェソスに進みます。 そう、著名な「歴史」を書いたヘロドトスをして、「この大神殿は、…
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アレクサンドロス戦記(八四) 第四章①
(一)ソロンからアリストテレスへの手紙 グラニコス河の戦いの後にご一報を入れて以来、めまぐるしく日々が過ぎ、連絡がしばらく途絶えてしまった事をお許しください。 先の手紙で書いたように、グラニコス河…
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アレクサンドロス戦記(八三) 第三章㉔
バルシネはけだるい快感の中で目を覚ました。もうすっかり日が傾いている。長い間、食事も取らないで、ひたすら互いの身体を貪りあっていたのだ。 何度、昇り詰めたのだろう。何度、彼の生命のほとばしりを受け…
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アレクサンドロス戦記(八二) 第三章㉓
夫とのセックスの記憶が呼び起こされた。彼の言う通り、確かにそれは子供を作る時期と、戦いの後や何か気に食わない事が夫に起こった時に限られていた。つまり、私は子供を産ませるためと、性欲を処理するための単…
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アレクサンドロス戦記(八一) 第三章㉒
夫が前に立った。 何をする気なの? 皆に見られている中で私を犯すつもり? 露出した局部に足が触れた。身体の中で火花がはじけた。 バルシネは低く呻いた。「お前は淫乱なのだ」という言葉が頭の中で反…
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アレクサンドロス戦記(八〇) 第三章㉑
おかしい、あの人がこんなことをするなんて! バルシネは夫の心が壊れてしまったのではないかと疑った。戦での極限に達した緊張、仲間を捨て逃亡した事に対する罪悪感、いつ発見されるかという恐怖を抱いての逃…
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アレクサンドロス戦記(七九) 第三章⑳
長い話が終わった。バルシネは胸が熱くなった。夫は苦難の末、自分の元にたどり着いたのだ。何がなんでも私の元へ帰ろうとしたのだ。 「無事にお帰りになられて、それだけでとても嬉しいです」 目の前にいるや…
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アレクサンドロス戦記(七八) 第三章⑲
「そこで、あの声が聞こえてきたんだ。あの声――いや、声なんてものじゃない、あれは叫び声だった」 頭が持ち上がる。顔がくしゃくしゃになっていた。 「あ、あれは仲間達の叫び声だった! 悲鳴だ! 断末魔の…
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アレクサンドロス戦記(七七) 第三章⑱
昨日――明け方に夫メムノンが戦争から帰って来た。何の前触れもない帰還だった。出て行った時とはうって変わったやつれた姿。服は破れ、肩の当たりに赤黒い血がこびりついている。戦に破れたのだ――とバルシネは…
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