遠山ケイ

  • 第五話 武者紫③

     すぐに帰ってくるというのは嘘だった。もう、日が暮れかけようとしているのに、あの人はまだ帰ってこない。私は鴨居に吊されて、ずっとあの人の帰りを待ちつづけていた。  つま先立ちの姿勢は長く続かなかった。…
  • 第五話 武者紫②

    「きれいだ……やはり、思った通りだ。紫がよく映える」  あの人は、私を立たせて、背中に結んだ縄を鴨居にかけて引っ張り、私を吊り上げ気味で固定してから、少し離れた位置に立って、仕事の出来映えを眺めていた…
  • 第五話 武者紫①

    第五話 武者紫 (一) 「玲子にはきっと、紫が似合う…」  あの人はそういった。  紫――それは、古来高貴な色であった。その紫が私の白い肌に合うという。 「妖艶な朱もいいけれど、玲子には、それより落ち…
  • 第四話 祭り⑯

     歓声が起こった。誰かがこちらにやってくるのだ。  何やら男たちが喋っている。一人は猛のようだ。もう一人の声は識別できない。  荒々しく御簾を掻き上げる音がして、男が私の前に立った。そして、私の顔を覗…
  • 第四話 祭り⑮

    (五)  ズントコ……ズンズン……トコトコ……ズンズン  いつの間にか、太鼓のリズムがけたたましいものに変わっていた。群衆の歓声が聞こえる。祭が始まったようだ。お堂の遣り戸が開け放たれていて、外の音が…
  • 第四話 祭り⑭

     ズンズン……ズンズン……ズン  太鼓の音が私の身体の中で響いている……。  猛が壺の中に一番小さな張り型を差し込んで、たっぷりと液をすくい取る。そして、視界から消えた。お尻がパンパンと叩かれる。そし…
  • 第四話 祭り⑬

    「どうして腰を振っているのだ?」  小栗さんがお尻を平手でパンパンと叩いた。 「私に何をしたの? アソコが熱い」 「そうか熱いか、どうしたんだろうな。いっぱいお汁が吹き出ているぞ」 「アソコが痒くて痒…
  • 第四話 祭り⑫

     私は尼になる。頭をツルツルに丸められ、アソコも無毛の尼になる。そして……この衝立の彫り物のように、犯される!  犯される。いろんな体位で犯される。こんな浅ましい格好で、ギロチンに繋がれたまま、背後か…
  • 第四話 祭り⑪

     ズンズン……ズンズン……ズン  目の前に桐の箱が四つ並べられた。紫色の絹の布のの中にあるのは男性器。いや、これは男性器をかたどった淫具だ。よく使っているバイブではなく、もっと歴史を感じさせる代物――…
  • 第四話 祭り⑩

     ズンズン……ズンズン……ズン  驚いている私をそのままにして、信助は作業に没頭している。滑車を動かして、天井からフックを下ろしているのだ。手が届く高さになったところで、縄を衝立上部の金具に掛けた。ど…