小説
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ささやかな奈落のはじまり⑥
青年が障子をゆっくり開けた。 十畳はある和室が見えた。真ん中に黒光りするどっしりとした卓が置かれていて、二人の男が向かいあって座っていた。 玲子に向かって射すくめるような鋭い視線が放射された。 …
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ささやかな奈落のはじまり⑤
気がつくと玲子は布団の上にいた。出掛けたときと変わらないワンピース姿だった。 かなり古い造りの畳敷きの部屋である。欄間の入念な細工などから、十分にお金をかけた建物であるとわかった。 廊下の先にあ…
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ささやかな奈落のはじまり④
(二) ……夏の日差しがギラギラ照り付けている。 私は、なぜか叢くさむらの中にいた。 夏の叢は太陽の照り返しと、草が放つ水蒸気で非常に蒸し暑い。 遠くに男達の声が聞こえている。 私を探…
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ささやかな奈落のはじまり③
しばらくして、ケバケバしいメイクをした無愛想な女がやってきて、サンドイッチとオレンジジュースをトレイごとガシャリとテーブルの上に置くと、すぐにまた店の奥に引っ込んでしまった。 「どや、ねーちゃん。旨…
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ささやかな奈落のはじまり②
入り口で立ちすくんでいると、奥から声がかかった。 「いやぁ、朝早くからご苦労さんでんなぁ」 玲子は声の方を見た。 店の一番奥にその男が座っていた。 禿げ頭で、でっぷりと肥えており、のっぺりとし…
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ささやかな奈落のはじまり①
(一) 月曜日の朝だった。玲子は新宿歌舞伎町を歩いていた。 この時間、街は夜の喧騒が嘘の様にひっそりと静まりかえり、厚化粧の下に隠されていた細部が明らかとなって薄汚れて見える。いたるとこ…
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アレクサンドロス戦記(八五) 第四章②
さて、マケドニア軍はサルディスを後にして、「月の女神アルテミス」の神殿で有名なカイストル川の河口にある海港都市エフェソスに進みます。 そう、著名な「歴史」を書いたヘロドトスをして、「この大神殿は、…
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第五話 武者紫⑱
私は何が起こっているのか、気づき始めていた。夢の中の「私」は精巧な人形なんかじゃない! 生身の人間なのだ。クスリか何かのせいで筋肉を動かせない。でも、知覚が奪われているわけではない。それは夢を見てい…
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第五話 武者紫⑰
(五) ぐっしょり汗をかいていた。 乳首が痛い。慌ててその部分を調べた。血が凝固して丸く固まっている。指で剥がすと、なんと小さな穴が開いているではないか。陰部と肛門もヘンだ。触ってみる。もちろん、…
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第五話 武者紫⑯
「ほんとに温かいぜ」 高瀬課長が「私」の乳房を弄っている。里美も「どれどれ」と手を伸ばす。 「ほんと! それに柔らかいわりに張りがあって、本物の乳房を触っているようだわ」 「こっちはどうかな?」 …
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